目次
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古代編
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第四章 奈良時代の政治と社会
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第四節 遠江国浜名郡輸租帳と民政
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浜名郡輸租帳
田租の徴収率
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今日に残された輸租帳は、この遠江国
浜名郡
の、しかも天平十二年(七四〇)度のものただ一つであるから、これを直ちに当時一般の基準とするわけにはいかないけれども、田の損害が意外に大きく、田租の徴収率が低いことは注目せざるをえない。この輸租帳に記されたところから計算すると、
浜名郡
では本来徴収可能なはずの量の五二パーセントしか集まらず、他は皆風損を受けたのである。【不三得七】当時、不三得七と称する基準があり、諸国の田租は、正規の量の七割を確保すればよしとされたのであるが、これは穏当なところかと思われる。