解題・説明
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『変化抄』上下2巻。 / 美濃紙仮綴。表紙ともに墨付八十六枚。 / 竹村広蔭(1793-1866)の著書である。広蔭は浜松領の敷知郡入野村(現在の浜松市西区入野町)の佐鳴湖畔の旧家に生まれた。その本家からは歌人の竹村尚規が出ており、広蔭の家はその分家であった。広蔭はまた風雅のたしなみがありその友に石川依平、八木美穂、久保長秋等があって、著書に歌集『門田八束穂』また『農民老夫随筆』がある。 / 『変化抄』はその序にあるように「おのれはやくよりしるしおけるを、ここかしこゑりいたし、をりをり人に尋ねもし、きゝもして」永年見聞したことがらにつき、百七十七項の多きにわたって筆録したもので、嘉永五年(1852)に脱稿したものである。内容は農林水産業に関する事項をはじめ産物、食物、衣類、住居、器具、風俗、習慣、祭礼、行事等多岐にわたっており、浜松地方の農村の民俗土俗を知るためのよい手がかりとなっているし、こうした方面の記録がとぼしいので収載した。本書は広蔭の末裔竹村梶代氏の所蔵にかかわる。(『浜松市史』史料編四) / 備忘録・郷土誌、安政地震の記事あり。 / 浜松市史史料編四に翻刻あり。
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